3/23 慶應大学卒業式にて ~新世代イノベーションに向けて ~

末吉です。3月23日は、慶應大学の卒業式でした。私は、25周年OBとして、理工学部 情報工学科の卒業証書授与式にて、今年卒業する学生たちに向けてスピーチの機会をいただきました。ハレの日に、これからの時代を担う若者たちに向けてお話できるのは、たいへん光栄なことです。ありがとうございます。(理工学部に寄稿した経緯もあるからですかね)

日吉風景

25周年OBとしてお呼びいただいたということなので、これまでの25年、そしてこれからの25年という時間軸で俯瞰しつつ、 「新世代イノベーションに向けて ~ 25years before, after and the beyond ~」と題して、エールを送りました。あらためて、卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます!

卒業式式次第

1990年から2015年までの25年を情報工学のある側面を乱暴にふりかえると、インターネット黎明期から、情報インフラが整備、進化を続け、現在ブロードバンド通信時代、しかもワイヤレスブロードバンドで、手のひらにスマートフォン、目には見えないクラウドサービスの時代へ、真のユビキタスコンピューティングもすぐそこまで。私は、その間ソニーに入社在籍し、パソコンの商品化を通して、また、2007年からは、このクウジットというベンチャーの起業を通して、その時代を経験、走り抜けてきました。大企業側から見ると、イノベーションのジレンマ、ベンチャー/チャレンジャー側から見ると世の中をひっくりかえすような革新的技術やアイデア、ビジネスが、どんどん生まれていくのを目の当たりにしてきました。私自身、車ドライブしながら聴く音楽デバイスも、カセットテープに録音してた学生時代から、MDに変わり、そして、iPod, iPhoneに変わっていきました。(ところで、サザンは、途中活動休止をはさみつつも、いまだバリバリ現役、変わらないですね。) 一方で、社会的課題は、この25年で圧倒的に複雑化、地球規模、グローバル化し、どれをとっても一筋縄ではいかないオープンシステム、複雑系の社会の時代に突入しました。

慶應大学講演風景02(photo by 伊藤君)

そんな時代背景で、大学院へ進学する人も、社会に出る人も、この先、どんな些細な課題にアプローチ、対峙する上でも、人とのコミュニケーション、コラボレーションは必須になります。机上で問題を解くだけではない。利害関係の対立を調整しないといけない。こっちを解決すると、あっちが問題となる。上司、部下、同僚を説得、納得、共感してもらわないとコトが動かない、はじまらない、大きなムーブメントを作っていくためには、同志をあつめていかないといけない。イノベーションやリーダーシップ(あるいはフォロワーシップ)のようなものの重要性については、自分事として実践するしか経験してないので、あまり客観的には語れませんが、自分事としてそれを「やりたい」と思う情熱や信念、そしてその継続こそがどんな些細な課題に対しても重要になってきていると感じます。

今後25年の情報工学の発展に思いを馳せると、手のひらのスマホのみならずIoTやWearableの時代へ、他のさまざまな工学系の進化発展ともからみ、人と機械/コンピュータをつなぐ関係デザイン、Singularityに向うまでの話があります。一方で、否応なく進化していく科学技術に対して、社会科学的、医療、ヘルスケア、倫理的な側面から、人の心、ハピネスや豊かさは、どう担保され、あるいは、どう拡張され、どう折り合いをつけて社会は変わっていくのかなど、興味はつきません。いまだかつて人類が経験したことのない複雑さの中で生きる時代、そんな新しい時代でイノベーションを創造して、切り開いていく、まさにその体現者になるのがこれからの世代。がんがん暴れまわってください!

クウジット株式会社
代表取締役社長 末吉隆彦

PS.
情報工学科の天野先生と記念写真。私がコンピュータの研究室に興味を持った宿題の1つが、天野先生の実験演習(デジタル回路入門)でした。研究室時代も、私は、所研究室でしたが、場所もお隣の安西・天野研ということで、たいへんお世話になりました。機会をいただき、ありがとうございました。

天野先生と

PS2.
同期の大槻先生が、もろもろ調整いただき、ありがとうございました。当日は、日吉の25周年会に来ていた永田君(トヨタ)、伊藤君(トヨタ)、栄山君(川崎重工)の3名が、私のスピーチがあると聞きつけ、わざわざ矢上まで聞きにきてくれました。ありがとう。うれしかったです。その後、同期の大槻先生、高田先生、重野先生、そして大先輩の寺岡先生らとも、場所を教員事務室に移して懇親。ほぼ四半世紀の時を越えての再会、楽しかったです。

慶應卒業式記念写真(矢上にて)

 (右から、重野先生、大槻先生、永田君、伊藤君、末吉、高田先生)

PS3.
前日の大同窓会には、イベント最終日&準備で参加できず。記念写真は、なんとか間に合ったものの、ゲストの松岡修造さんの話聞けず、残念。(「日めくり、毎日修造!」買おうかなw)