末吉です。
メディア環境学の久保友香さんは、「盛り」の文化を研究されてます。
「盛り」?
そう、あの女の子たちがカラーコンタクトやつけまつげ、プリクラやスマホ自撮り写真などで、普段の自分とは違う自分を表現してる、アレです。久保さんは、 「盛り」を支援する技術を「シンデレラテクノロジー」と名付け、長年研究されています。
※著書:「盛りの誕生-女の子とテクノロジーが生んだ日本の美意識-」(2019年、太田出版)
そんな久保さんから、「自撮り」の歴史を調べているとのことで「VAIO C1」について話を聞きたい、とコンタクトがありまして、先日昔話がてら、お話し会的な場を設けてもらいました。
VAIO C1とは、1998年にソニーから発売された小型CCDビデオカメラを内蔵したノートパソコンです。私は、前職ソニー在籍時代、VAIO C1シリーズのソフトウェアPLを担当してたことで、その話を聞きつけていただきの流れでした。ありがとうございます!
せっかくの機会ですので、昔取った杵柄ならぬ、昔撮ったVAIO C1を引っ張り出したり、当時クリップしていた広報資料などを手繰り寄せまして、ひとしきり歓談、楽しいひと時を過ごさせていただきました。
…記憶をひもときつつ…
- いまのノートPCでは、標準となったディスプレイ上部の位置に自撮りカメラ搭載と決まったのは、やはり下からのカメラだと鼻の穴が見えて不細工に見えてしまうという一択でここしかない、という最終判断だったかと記憶。電気メカ屋さんらは、相当の苦労でしたよね。ましてや、クルっと前後にまわるメカ機構「Motion Eye」でしたからね。
- お披露目のWinsows World Expo@幕張で、急きょ安藤プレジデント(当時)と壇上にあがって開発途中の試作機でデモしましたが、記者さんらのフラッシュライトを浴びながら、自撮り/外向き両対応をデモアピールできたのはよい思い出です。
- 発表直後にアスキーの桃井はるこ新聞で女子目線でのカメラ使い方について取材されたり、初期ユーザーの当時TBSアナウンサーの秋沢淳子さんが、さまざまな現場レポートの使い方をフィードバックくれたり、VAIO C1はマニアユーザーも多かったですが女子ユーザー比率も高く(マニア&女子ということだったのかもw)、当時はやくから女子目線でのカメラ使い方を話題にしてくれてましたね。
- メインコンセプトが、「ビジュアルコミュニケーション」で、来るモバイルワイヤレス(といっても、PHSなどのPCカードで通信してた時代)を想定して、写真撮ってのメール添付や、プリクラ的な画像エフェクトなどから、画像認識技術が進化していったら、考える目になるよね、とバーコード的なものを認識させてモバイルARをやろう、とか文字認識から顔認識などなど、ありとあらゆるユースケースを考えて、(おまけソフトと揶揄されながらも)商品化チャレンジしてたのを思い出しました。
私自身は、one of 当事者ですから、経験でしか語れませんが、久保さんならではの自撮り史?の文脈では、どのような系譜と位置づけになるのか、楽しみですね。
ありがとうございました!
PS.それにしても、久保さんは、ガジェットオタク!? VAIO C1の話のみならず、VAIO GTやら、General Magicの話から、さらには、”みえてる”(テレビ電話)なんて昔の商品名も話に出てましたね。