2017年3月15日 水曜日
東京大手門にある 「3×3Lab Future」で、人を幸せにするおカネを感じるワークショップ「エミー&ゼニーの世界を体験しよう!」が開催されました!番頭役を務めたYuriです。
「エミー&ゼニー」のワークショップは、2016年1月に慶応SDMで初開催されたのち、その後、参加された方々が、さらにつながりの方を呼んでいただいたり、開催支援いただいたりと、さまざまな場所や対象に向けて実施されてきました。
そして、昨年9月のFinolabでの開催につづき、今回も同じく大手町にある3×3 Lab Future、金融とイノベーションの街での「エミー&ゼニー」ワークショップの開催となりました。
講師は、ISID/VCFエバンジェリストの江上広之さんとクウジット代表/慶應SDM研究員の末吉が務めます。江上さんは、元銀行員で金融コンサル。江上さんや慶應SDM 前野先生、保井先生つながりの方々に多くご参加いただけたようで、みなさんおカネに対する考え方がしっかりされているという印象でした。
このワークショップでは、会場全体を1つの商店街と見立てた2つのゲームを行います。1つは普段私たちが生活している資本主義の利益追及「もうけ最大化の行動原理」の世界。もう1つは(現在私たちが使っている)お金・通貨の代わりに感謝の気持ちを流通させる、「ありがとう最大化の行動原理」の世界。私たちは、それぞれの経済圏とおカネ(人の信用価値を測るもの、広義の通貨)を「ゼニー」と「エミー」と表現しています。
ルールは簡単。全体を6つの店舗に分け、それぞれの店舗には1種類ずつ商材を渡します。同じ商材を持つ店舗が2店舗ずつ。つまり商材の種類は3つです。3種類の商材を集めると納品することが出き、外貨を稼ぐことができる、というものです。
今回の納品物は「桃太郎プレート」。商材は、「サル」「キジ」「イヌ」の3つです。それぞれ、赤・青・黄・緑・紫・白のチームに分かれてゲームを行なっていきます。
まずは「ゼニー」の世界!
もうけ最大化がルールなので自分のお店が一番儲かることを考えます。
作戦会議と商材の付加価値付け(塗り絵やハサミでの加工)の時間は20分。お店名前を決め、戦略を練り、値段を決め、塗り絵をして…(スーツ姿の大人たちが真剣に塗り絵をしてる…!)
取引スタート!
さすがは、3x3Lab Futureに集うみなさま! 駆け引き炸裂ですね!(でもみなさん楽しそう…!)
今回、番頭を務めたのは半田志野さんと私。今回は「厳しめでいこう!」ということで引き取り金額を低めにしていたところ、「最低ラインでいいので引き取ってください」と、あまり工夫せずに納品してくるチームや、「お願いします!」と、とても凝った作品とともに熱いプレゼンをしてくれるチームなどさまざまありました。
こちらが納品された作品たち!
続いては「エミー」の世界!
商店街全体に感謝が溢れるように「ありがとう最大化の行動原理」で行動していきます。
「感謝されるには?」ということ一生懸命考えます。ゴミ拾いを始める人、オーダーメイドの商品づくりをする人、他のチームのプレゼンをお手伝いする人、共同作品を納品する人…などなど。
ワークショップで現在使っている「エミー」は感謝を表現するものなので、お札ではなく「割り符」で表現しています。「ありがとう!」と思ったら割り符をちぎって、片方を相手に渡していきます。お店同士の繋がりも可視化されるのでおもしろいですよね!
確かに、番頭として全体を見ていると、オリエンのときに末吉からヒントのあった、物々交換や、貸し借り、恩送りなどの目に見えない経済が可視化されているのを感じます。
終了後にどちらの世界の方が居心地よかったかを聞いてみると、ちょうど半分ずつくらいでした。なるほど、おカネの捉え方が変わると、こんなにも気持ちや行動が変化するんですね!と参加された方々からは多くのコメントをいただいています。
ワークショップをおえて、ふりかえりセッションにて、「おカネのルーツは、ギフト、贈与経済から発生した「エミー」そのものとも言われています。それが段々と「ゼニー」的な捉え方が大きくなってきて現在のかたちになっているだけで、近い将来、また「エミーとゼニー」がバランスよく流通する世界になっていくのではないでしょうか。」などの話がありました。
このワークショップ、「(エミーとゼニー)どちらがいい」というものではないのです。みなさんがそれぞれ、居心地のいいおカネの捉え方を模索するためのもの。
みなさんもぜひ、「おカネ」についての捉え方、考えてみてくださいね!
PS. 私も番頭役の疑問を末吉に投げてみました。
Yuri:「ところで…エミーセッションでは、実は番頭、とっても暇になるんです…。従来のお金ではなく、人の感謝の気持ちそのものをもとに、お店とお店の取引、コミュニケーションが活性化すると、番頭の存在意義があまりなくなるんですかね?」
末吉:「いい質問だね、Good Question! そう、もともとエミー名付け親のHonjoさんは、エミーを中と外の系で循環させる場所を「お地蔵さん」のメタファとしていたくらいだからね。エミーセッションでは、きっと番頭さん=お地蔵さんの心持ちになってエミーを場に返す役なんだよ。一方で、実際の社会では、エミー&ゼニーがMixし、多様で多層的なコミュニティからなる複雑系の社会。人と人とのネットワーク間で伝搬する、エミー&ゼニー(=人の信用価値、広義のおカネ)を介して、地域の資源(各人のスキルでもよい)をもちよって、みんなで新しいものを創発デザインして、世界に売っていく。そんな世界観を描いたうえで、ゲーム中の商店街をある目的やテーマをもったコミュニティとしてとらえると、番頭さんは、そのコミュニティ上でエミー&ゼニーがバランスよく流通するメカニズムのメタファだととらえることもできるよね。エミー&ゼニーのワークショップは、イノベーションや複雑系社会の教育やワークショップと相性よいんだよ。将来的に発展していくかもしれないね。だから、とっても大事な役なんだよ!次回もよろしくね!」
Yuri:「そうだったんですね。はい、がんばります!」
末吉「あ、でもごめん、未来では、番頭メタファはAIかもw」
Yuri:「…」
PS2. このワークショップが気になる方は、こちらもチェックしてみてください。
【慶應SDM 前野隆司先生のブログ】
愕然のワークショップ報告。人は制度により180度変容する。「金」か「ありがとう」か。
【慶應SDM 保井俊之先生の秋田での関連イベントの紹介記事】
ホームレス大学生と地方移住者に聞く、幸福な生き方−秋田
【主催者クウジットのブログ】
おカネのワークショップ ~東京大手町FINOLAB編~
慶應SDMxクウジット共同研究ふりかえり
【講師 江上広行のブログ】
JUST MONEY! 「おカネ」のことについて、これまでの人生で一番じっくり考える1日
【参加者の方のブログ】
エミー&ゼニーの世界を体験しよう!」を受講しました
クウジット info[at]koozyt.com
※ 「人を幸せにするおカネ」ワークショップ研究は、クウジット株式会社が提供するKART顔画像認識ソリューション、およびソニー株式会社が開発した顔画像認識技術を利用しています。