DF.sensor で非日常はわかるか?

以前、ブログで虎ノ門での DF.sensor の実証実験についてご紹介しました。
その後も一部の店舗にて、DF.sensor を設置続けさせていただき、さらにまちなかのにぎわい傾向について何かわかるかどうか調査しておりました。

実は、4/23 (土) 11時〜16時に、ちょうど港区虎ノ門エリアに位置するコミュニティースペース「新虎小屋」付近で「新虎通り 道の楽校」というイベントが開催されており、今回のブログでは、DF.sensor のデータから非日常の出来事、イベント等を検知・類推できるのかを深堀りしてみようと思います!
DF.sensor で非日常はわかるか?

データの深堀り

新虎小屋の DF.sensor で観測されたWi-Fi端末カウントのグラフです。

新虎小屋 5分ごとのユニークカウント

横軸は時間帯で、各グラフは 5分ごとのユニークカウントを示しております。ユニークカウントとはその期間内に観測されたユニークな端末の数のことです。すなわち、5分の間、同じ端末が2回観測されても、1回しかカウントされません。赤い線は 4/23 イベント当日のグラフです。また、比較のため、4/23前後の土曜日、4/16, 4/30, 5/7 (黄緑、スカイブルー、黄色)も表示しております。最後に濃い青線は 4/14~4/28 までの平日のみの平均ユニークカウントになります。
このエリアはビジネス街であるため、平日に比べて土日は通行量が激減する傾向にあります。ですが、イベント当日である赤い線(4/23)の 10:30~17:00 は、他の土曜日 (黄緑、スカイブルー、黄色) に比べてカウントが増加していることが分かります。特に15:00~17:00 に関しては平日の平均並(濃い青)まで増加しております。

赤い線の増加している時間帯が今回のイベントの時間帯に一致しておりますので、DF.sensor を活用してイベントなどの非日常的な出来事を検知し、その費用対効果をデータ化することができるのが分かります!

なお、念の為、イベント会場から離れた箇所に関しても結果をみていきましょう。以下、DF.sensor を設置した店舗マップです。

新虎通りDF.sensor 設置マップ

このマップ上の、1番、GOOD MORNING CAFE & GRILL と、4番、THE CORE KITCHEN/SPACE においても DF.sensor の設置を継続していたので、それらの結果もみていきましょう。
ちなみに、今回イベントが開催されたのは、マップ上の3番、新虎小屋付近となります。

The Core Kitchen/Space 5分ごとのユニークカウント

上図は新虎小屋から新橋よりに離れた THE CORE KITCHEN/SPACE で測定されたユニークカウントです。各グラフの色は新虎小屋のグラフと同じものを表しております。イベント当日の赤い線は他の土曜日と比べてそれほど変わらないことが分かります。新虎小屋とは明らかに異なる傾向で、新虎小屋のイベント効果が強調されていたことがわかります。

次は、虎ノ門ヒルズの交差点近くにある GOOD MORNING CAFE & GRILL のデータをみていきます。

Good Morning Cafe & Grill 5分ごとのユニークカウント

THE CORE KITCHEN/SPACE 同様に GOOD MORNING CAFE & GRILL の赤い線(イベント当日)も他の土曜日と同様の規模のユニークカウントしか観測されておらず。
やはり、新虎小屋とは明らかに異なる傾向で、イベント会場から離れていたこの2店舗ではその影響が見られなかったのでした。すなわち、やはりイベント効果を DF.sensor で検知・類推できそう!ということになります。

ランダマイズの影響

昨今プライバシー問題が注目され、各種スマートフォンから発信される制御信号 (プローブ要求) に含まれる MACアドレスはランダマイズされているようです。ランダマイズされるタイミング、頻度などは端末、OS、使用上状況、ソフトウェア・ファームウェアの仕様などによってさまざまのようで、詳細については情報は公開されてないのがほとんどかと思います。したがって、一つの端末がある場所に長期滞在している場合、複数台としてカウントされることも考えられます。今までのグラフではそのような影響があまりでないよう 5分ごとでユニークカウントをみてきました。ユニークカウントを集計する間隔を1時間単位にするとランダマイズの影響が顕著に現れ、非常に多くの端末が集計されてしまいます。
以下のグラフに1時間ごとのユニークカウントを示します。

新虎小屋 1時間ごとのユニークカウント

青線の平日平均のピークの山に注目すると、5分ごとだとピーク時はおよそ 300端末ですが、1時間ごとだと3000端末で跳ね上がります。しかし、全体の傾向は、5分ごとのグラフと変わらず、イベント当日、赤線は他の土曜日より高く、時間帯によっては平日並だというのがわかります。

ちなみに、DF.sensor では観測された MACアドレスは不可逆演算で変換し記録していますので、元の MACアドレスは一切記録しません。

場所の特性

なお、本題から外れますが、Good Morning Cafe & Grill だけ集計した結果が他の2地点と異なります。平日の平均グラフ(青線)の縦軸スケールが土曜日とそれほど変わりません。他の2地点では平日のほうが土曜日より上回っている場合がほとんどです。

GOOD MORNING CAFE & GRILLでは平日のお昼の時間帯と夕方18時から22時まで、山が2つみえます。しかしそのピークは土曜日とそれほど変わりません。逆に、ここでは土曜日において、朝の 8時から11時の時間帯、および 14時から17時ぐらいまでの時間帯に平日よりも多い山が見られる場合があります。新虎小屋と THE CORE KITCHEN/SPACE とは異なる傾向です。こちらの2地点は平日の朝、昼、夕方に山が観測され、それらのピークは土曜日よりも明らかに多いです。THE CORE KITCHEN/SPACE に関しては 14時から18時までは土曜日のほうが平日より上回るかほぼ同等な傾向がみられます。午後に一つの山がある典型的な週末来場・来街パターンです。同じ街なのに少ししか離れていないのに、その場所の特徴が顕著に現れてます。このようなことも DF.sensor を用いてデータ化し、非日常の検知・場合によっては来街予測にもつながるかもしれません!

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