クウジット、マグロの品質判定を行う画像解析AI「TUNA SCOPE™」のAI開発支援をしています

クウジットの現在主力となる事業は、AI機械学習データ解析事業です。
このAI領域を率いているのは、空実データサイエンティストの宮島靖、そして現在9名のバングラデシュからのAI・機械学習エンジニアたちです(クウジットは、ハイパーダイン社とAI領域で事業提携しています)。

5月29日に電通、ISIDイノラボ、双日が取り組む「プロジェクト 匠テック」がプレスリリースされました。クウジットは、本プロジェクトの一環において、天然マグロの尾部断面画像から品質判定を行う「TUNA SCOPE™」システムのAI開発支援を行っています。

本プロジェクトにおけるAI開発支援の役割と苦労した点を、宮島は下記のとおり語っています。

「実際に尾切り検品を行うマグロ工場にて、大量の写真を撮影し、その写真と実際に匠が下したマグロの検品結果をもとに、AI学習モデルを作成する部分でクウジットは技術協力しました。今回、単純な CNN モデルから始まり、ResNet や VGG16, 19 などさまざまな手法を試して、精度を上げていきましたが、モデルだけではなく画像の前処理も精度を大きく左右するため data augmentation 手法による教師データの水増し処理や、マグロの肉部分をクロッピングしてから学習に用いるなどの工夫を入れています。」

できあがったモデルを Androidのアプリにするところもクウジットが開発支援を行っています。アプリでは実用的な時間(数秒)で撮影から判別までを行わなくてはなりません。
そのため、モデルのサイズ、精度、複雑さと実行速度などを鑑みて最適な実装を行いました。

  • Androidアプリにて撮影するときには、カメラ側で自動で明るさやホワイトバランスなどのパラメータが変わってしまわないよう固定値を設定できるようにしています。まぐろのランク付けは微妙なので照明などなるべく同条件で撮影することが好ましいためです。
  • 教師データとなる写真の枚数が限られていて、水揚げのタイミングなどもあり、それを増やすことは簡単ではありません。特に太平洋、大西洋、インド洋などの生息地でもマグロの特徴が異なる可能性があるため、データをうまく水増ししながら学習精度をできるだけ上げるように尽力しました。
  • 犬と猫の分類などとくらべると、微妙なマグロ品質の違いを識別することは非常に難しいです。照明などの撮影条件でも微妙に画像は変わってくるし、匠も人間なので、匠の判断のゆらぎもあると思います。その中でどうやって精度を上げていくか、どの学習モデルのアルゴリズムであれば匠が判断している特徴をうまくモデル化できるか、をかなり試行錯誤しました。様々な前処理手法やアーキテクチャを組み合わせ、何十種類ものパターンを切り替えながらチューニングを繰り返し、最適なモデルを探し出しました。

これらの高度な開発工程を可能にすべく、事業提携しているハイパーダイン社のバングラデシュ人エンジニアとクウジットの日本人エンジニアの混合チームにて、密に設計と実装を進めました。
「バングラデシュの人たちはマグロを食べることに馴染みはないが、本プロジェクトの開発を担当したMimさんやRashidさんは、プロジェクト後半では写真を見ただけで、コレAデスネー!とか言えるようになった。もっとも育ったのは AI ではなく人間かも(笑)。」(宮島)

【参考情報】

  • ISIDからのプレスリリースは、こちら
  • 電通からのプレスリリースは、こちら
  • 双日からのプレスリリースは、こちら

本プロジェクトでは、電通が主体となり国内外の様々な広告賞にノミネートされ、クリオ賞プロダクトイノベーション部門やACCアワード クリエイティブイノベーション部門、AD STARS 2019 Interactive部門など多く受賞しています。(ISIDからのおしらせ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする